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2007-10-30 Tue 21:56
この記事を書くために、本の画像を並べてみて、初めて表紙の王獣の影がつながることに気がつきました……。遅すぎ……。 さて、『守り人』シリーズの文庫化を待ちながら、待ちきれなくて、単行本で購入してしまいました、『獣の奏者』全2巻。個人的には名作と呼び声高い『守り人』シリーズよりも、こちらのほうが好きかもしれません。 細部まで見事に作り込まれた異世界のため息の出るような美しい自然の中で、その中でもひときわ美しくそして恐ろしい獣たちが、人間たちとともに生きている、そんな物語です。 私たち人間は、野生に憧憬を抱かずにはいられないのではないかと思います。 自分たちが遠い昔に捨ててしまった野生のそのままに生きている生き物たちに、畏れとともに憧れを抱かずにはいられない。そうでありながら、その野生の獣と心を通わせることもまた、夢見ずにはいられない。 実際に私自身、大型のネコ科動物には特別な思い入れがあり、幼い日、パンダを見に連れていかれたはずの上野動物園で、どんなに促されても虎の檻の前から動こうとしなかった子供であり、サファリパークで車の真横を並走した虎やライオンたちに大人ですら軽い悲鳴を上げる中、彼らの躍動する筋肉の美しさに目を奪われてひたすら見つめていた子供だったわけで。 この物語の主人公、エリンもまたそんな少女です。 竜のようにも蛇のようにも見える、巨大なしかも獰猛な闘蛇のうろこに触れてみたいと願う幼いエリン。蜜蜂の、綺麗に刈り込まれた黄色と黒の体毛に触れてみようとして指を刺されてしまうエリン。傷ついたリランを、野に生まれたものを野にあるようにと育てながら、竪琴の音色でお互いの意が通じる事にわくわくするエリン。 彼女の好奇心できらきらする瞳を通して見る生き物たちはなんて素敵なのだろう。 私たちは彼女と一緒に、リランの身の上に胸を痛め、ロン、ロロン、ロンというリランからの返事に心躍らせ……。 エリンには、政を操る人々の腹黒い思惑など関係なかったのに。 エリンはただ、生き物が大好きで、王獣に魅せられて、母から引き離されたリランの恐怖と不安に共感し、なんとかしてあげたかっただけだったのに。 そんな彼女の気持ちとは裏腹に、王獣を操れるがために、権力者たちの思惑にいやがおうにも巻き込まれて行くエリンとリラン。 大人たちは言います。獣と人とは決定的に違うのだ、と。 ―闘蛇はけっして人に馴れない。……慣らしてはいけない生き物なのよ。 ―いいかエリン、人と獣のあいだには大きな隔たりがるということを忘れるんじゃないぞ。 ―すべての生き物が共通して持っている感情は<愛情>ではない。<恐怖>よ。 それは一面真実であり、実際エリンは我を忘れたリランに左手を喰われてしまうし、音なし笛を使って脅さなければ、闘蛇を目の当たりにしたリランを制御することはできないのです。 けれども、この物語を読み終えたときに、それでもやはり人と獣の間にも心を通わせる事ができるのではないか、と、そう信じたい、と、強く思ったのでした。 |
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[はじめまして。]
わたしも、記事を書くときに気づいた一人です・・・。
獣の存在感に圧倒される作品ですよね。 TBさせていただきました。 [いらっしゃいませ]
TB&コメントありがとうございます!!
闘蛇にしても王獣にしても、圧倒的な存在感ですよね。 この世のものではないものの描写の素晴らしさは上橋さんの右に出るひとはいないのでは、と思わされますね。
2007-11-06 Tue 18:56 | URL | ねこ姫 #Zz4iFS5w[内容変更]
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